性描写・強姦・ダークな表現を含みます。
また、幹部が非常に暗い上に人格的に歪んでて最低です。


苦手な方はご注意下さい。



















 落ちておいて、俺のところまで。

 




   アンダーグラウンド・ラビリンス。       





 


 (・・・まだかな)


 馬鹿だと思う。我ながら。
 
 でも嬉しさは隠せない。
 
 きょろ、きょろ、と、2度あたりを見回す。
 
 馬鹿だと思う。我ながら。

 誰もいるわけない。

 だってここは彼の部屋なのだから。


 「ふふ」


 隠せない喜びが、喉から溢れて笑みになる。
 
 これから起こるであろう一連の事柄を想像すると、笑いが止まらない。

 
 ぼく、馬鹿だ。


 笑みを隠そうと顔を埋めたレースのカーテンすら彼の匂いがして、
 ジョルノは首筋を走る電流にうっとりと目を細めた。


  
 


 『・・・おう』

 見た目よりずっとシャイな恋人が声をかけてきたのは、皆で食事を取り、
 キッチンで皿を洗っている最中だった。
 洗い物担当のジョルノは泡だらけの手を休め、意外な訪問者に目を丸くした。
 
 『ミスタ、珍しいですねキッチンに来るなんて。』

 『・・・ああ、まあな』

 男児厨房に入るべからず、なんてへらず口叩いていた男は
 なぜかよそよそしく入り口付近に立ちすくんでいる。
 ミスタらしくない仕草に、ジョルノは怪訝な顔をした。

 『あ、もしかしてサラミですか?ナンバー5、また食べそこねたとか』

 『ああ、いや、違うんだ。あいつにはさっきちゃんと俺の分をやったよ』

 じゃあなんですか?と言いたげに首をかしげるジョルノから
 居心地悪そうに目をそらすと、何か言いたげにミスタは口ごもる。
 
 『ミスタ?』

 呼びかけると、ミスタはますますその顔を俯ける。
 気のせいか、その頬が真赤に染まっている気がして、ジョルノは「風邪?」と不安になった。

 その時、ミスタの小さな声が静かなキッチンに響いた。

 『・・・・・よ』

 『え?』

 『・・・今夜、俺の部屋に来いよ』



 ・・・・・・・・




 『・・・・は?!』



 停止した思考回路が再び活動を始め、ジョルノが大きな声を上げた頃には、
 ミスタの姿はそこには無かった。


 
 



 そしてジョルノは、そのお誘いどおり、ミスタの部屋にいる。


 (ついに、ついに、ついに!!!)

 頬が紅潮するのがわかる。

 感情をあらわにするなんて自分らしくないのは重々承知だった。
  
 が、どうしても嬉しさが隠せない。

 それほどに、この日をジョルノは待ち焦がれていた。


 ミスタが、好きで、好きで、そしてミスタも同じくらいに自分のことを好きでいてくれて。
 
 いわゆる恋人同士、という関係になるまでそう長くはかからなかった。
 が、ミスタはそのおちゃらけた性格とは裏腹に、ジョルノに対しては異常なほどに純情だった。
 ごく一般の10代ならば付き合い始めたその日にキスくらいしてもいいものだが、
 ミスタがその行為に及ぶには実に1ヶ月という時を逸した。
 それですら、ジョルノが誘ったのだ。
 
 (キスをした日のミスタのあの動揺っぷりから・・・この日はもう一生来ないんじゃないかと思ったけど・・・)

 しんみりと、思う。

 (でもついに!!!)

 何度もひっぱられ、丸められ、ジョルノの手の中でレースのカーテンが見るも無残な姿となっている。
 そんなことお構いなしのジョルノは、再びそれに顔を埋めると、聞き耳をたてた。

 ざああ

 激しい水音が耳をくすぐる。
 
 





 『う、おっ!!!』

 来いと言ったのは自分のくせに、ドアの外にジョルノの姿を見つけたときのミスタの動揺っぷりは激しかった。
 それでもすぐさま冷静を保とうとガチガチに固まった手で、ぎこちなくドアを開き、ジョルノを部屋に招きこむ。
 こざっぱりと片付いた部屋を見て、ジョルノはほくそ笑んだ。
 いつもはごちゃごちゃと散らかったミスタの部屋。
 いそいそと片付けている彼の姿を想像すると、愛しかった。

 『あ・・・・あのう・・・・先に、風呂・・・えーあー・・・入れば・・・』

 緊張のせいで、ミスタの口調が滅茶苦茶になる。
 ジョルノはその言葉に、ぴん、と背筋が伸びた。

 『・・・・あ・・・ええと・・・』

 とたんに、ジョルノの語尾も収縮する。

 『ぼ・・・ぼく・・・お風呂・・・入ってきました・・・・』


 『『・・・・・・』』


 少女マンガなら、二人の耳から、しゅうううううう、と湯気が立っていたに違いなかった。






 ミスタの部屋はジョルノの部屋とまったく同じつくり。
 でも窓から見える景色は、自分の部屋から見えるものとは全く違う。
 
 ミスタ・・・・・

 好きです、好きです。好きです。


 部屋に満ちるミスタの匂いに、くるまれるだけで幸せをかみ締めているようで。
 そんな純粋な気持ちとは裏腹に、疼く身体の熱をジョルノはもてあましていた。

 早く出てきてください・・・・ミスタ。



 
 


 
 【でもお前は知らない、美しい全ては恐ろしさの前兆だと】






 がた






 「ミスタ???」



 
 堪えきれない期待が、ジョルノを勢いよく振り向かせる。
 その時。


 





 (あ     


    

    れ 
   


        ?


 

     ?


             ?



                )







 床だった場所に足が吸い込まれ、ひどく自然に





 お



 ち









 た。






 



 (あ    あ

    あ
          あ  
          
       
  ミスタ・・・・・・・!!!!!!!!)







 突然のことに脳がついていけず、自分がどこまでも落ちてゆくような感覚にジョルノは思わず目を覆った。


 そして気がつくと、真っ暗な闇の中にいた。

 見上げると、はるか頭上に見慣れた天井が見える。
 暗闇をナイフで切り裂いたかのようなシルエット。

 「あれは・・・ミスタの部屋だ」

 その時初めて自分が、ミスタの部屋から落ちてしまったことに気がついた。

 しかしどういう事だ。
 天井が突然「割れる」「抜ける」「砕ける」ではなく、「裂ける」とは??

 ジョルノは目を細め、はるか高いその裂け目に目をこらす。

 
 
 あれは・・・裂けたんじゃない・・・・・・・



 ・・・・・・・・ジッパー??



 「正解だ」

 「!!!!!!!!!!!」


 
 背後の気配にとっさに手を上げたジョルノより、相手のほうが一枚上手だった。

 
 「!!!」

 「そんなに怒るな。可愛い顔が台無しだ」

 
 高々と掲げられた彼の手の上に、【ジョルノの手】。
 ジッパーで両手をはずされた事を、ジョルノは知った。
 ご丁寧に「手首の皮膚」をジッパー状にされ、ジョルノの手を合わせた状態に縛っている。
 もがいても、抜けそうになかった。

 「ブチャラティ!!」

 「しぃ、静かに」

 「んぐっ」

 大きな手に、口を塞がれる。

 ぐい、背後から抱き寄せられると、首元にブチャラティの黒髪がさらさらと触れた。
 首筋に鋭い痛みを感じ、眉間に皺が寄る。
 ブチャラティに思い切り吸い付かれたその場所に、鬱血ができていることは間違いなかった。
 
 「いい匂いだな・・・ジョルノ」 
 
 首筋から、耳の裏へ、なぞるように彼の頬がなぞる。
 彼の吐く息に、ぞくぞくぞく、と背筋に電流が走る。
 感じてしまう自分が恨めしかった。

 がりっ

 「!!!!」

 突然その電流が脳を刺激し、ジョルノは苦痛に鈍い叫びを上げた。

 「誰のために風呂なんか入ってんだ?」
 
 耳元をきつく噛まれたのだ。
 一足遅れて、じんじんと熱を帯びる傷口に彼の声が響く。

 「・・・・ジョルノ、俺のためだろ?」

 熱い舌が首筋を舐める。

 「−−−−−−−−!!!!!」

 望まぬ快感に身体は素直だ。
 手の中で漏れそうになった声は必死に堪えたが、背筋は激しく反ってしまった。
 ジョルノはその問いかけに、必死になってうなずく。
 なんでもいいから、この場から逃げたかった。


 「ジョルノ・・・」


 耳元をブチャラティの静かな声がなぞる。
 嫌悪と快感に涙で濡れた目でゆっくり声のするほうを見ると、
 ブチャラティの優しい黒い瞳とぶつかった。

 
 「ジョルノ」


 静かな声。
 その声の含む意味を知りたくて、知りたくなくて、ジョルノは瞬きもできずに息を飲んだ。

 
 「・・・これは嘘をついている味だ。

 おまえは嘘をついているね・・・・・・・」


 汗がまぶたをつたい、一度瞬きをしたその直後、
 目にうつったのは初めてあのケーブルカーで出会った頃の、冷酷なギャングの瞳だった。


 

 






 「いてっ」

 頬に走る鋭い痛みに、ミスタは思わず声を上げた。
 使い慣れたカミソリが肌に紅い筋を作る。
 普段は絶対に誤らない手元が、見事に狂った。
 
 はぁぁぁ・・・

 盛大にため息をつく。
 とっくのとうに風呂はすんではいるが、なかなか風呂場から出ていけない。
 どんな顔をしていいのかわからないのだ。
 覚悟が決まらぬまま、こうやって普段より念入りに髭をそって自身を持て余している。

 ちらり、とドアを見る。

 このドアの向こうで、ジョルノが待っている。
 どんな顔をして、どんな体制で、どのような言葉をかけてくるんだろう。
 ジョルノだって緊張していること、鈍感なミスタにだって十分わかっていた。
 十中八九、窓際で特になにをするわけでもなく立ちすくんでいるに違いない。

 (でも・・・もしも・・・ベッドの上で・・・

 『はやく・・・ぼくもう我慢できないです・・・ミスタ・・・』なんて・・・・

 言われたらっ!!!!!

 うおおおおお俺ぜってーーー理性プッツンだぜぇえぇ!!!!)

 ドアノブに伸ばした手を引っ込めて、頭を抱える。
 先ほどからこの一連の動作を何度繰り返したことか。
  
 (いよしっ!!)

 覚悟を決め、今度こそドアノブを掴み、静かにドアを引きあけた。



 「ジョルノーーー??あがったぞ・・・」

 つとめて冷静に、ドアから顔をそっと出す。
 予想をつけていた窓際に、その人の姿を見つけることができず、
 ミスタは顔を突き出したままグルリと自分の部屋を見渡す。

 そして、ゆっくりと部屋へ入り、今度はきちんとあたりを見渡した。

 そこには、先ほどまでいた愛しい人の姿は無かった。



 「ジョルノ・・・????」







 


 「!!!!」

 「あぁ・・・ミスタがあがったようだな、ジョルノ」

 
 ブチャラティの肩越し、はるか頭上、ミスタの部屋の天井に、ジョルノは釘付けになる。

 
 「どうした??呼ばないのか?お前を探してるみたいだぞ」

 「んぐぅっ・・・・!!!」

 セリフにあわせ、ゆらりと腰を打ち付けられて、ジョルノの口元から鈍い声が漏れる。
 必死に自分の腕を噛み、なんとか堪える事ができた。
 ブチャラティは悲しそうな顔をすると、ジョルノの腕を撫でる。

 「やめろよ、傷がつく・・・せっかく綺麗な身体なのに」

 そのセリフに、ジョルノは憎憎しげに自分にのしかかる男を睨んだ。

 「どうしたんだ、声が出ないのか??」

 何も言わず、睨む。

 ブチャラティは優しく微笑むと、ゆっくりと腰を引き、再び激しくその腰を打ちつけた。
 肉を押し広げられるその感覚に、ジョルノの背が勢いよくそりあがる。

 「あぁっ・・・ぁ!」

 「!!」たまらず漏れてしまった声に、しまった、と、口を覆うが遅かった。
 ブチャラティはいやらしい笑みを浮かべる。

 「出るじゃねーか・・・」

 「ふぐっ・・・・」

 
 聞こえてませんように、聞こえてませんように、聞こえてませんように

 どうか、どうかどうか


 

 しん、と静寂




 どうやらミスタには聞こえなかったらしい。
 ほっと、胸をなでおろす。

 

 ぎし、と頭上で思い何かが動いた。
 スプリングの跳ねる音も同時にしたところから、どうやらミスタがベッドに腰掛けたようだった。
 
 『ジョルノ、帰っちまったんかな・・・』

 


 落ち込んだミスタの声が頭上から降ってきて、ジョルノは胸が締め付けられる思いだった。

 (ミスタ、ミスタ、僕は・・・僕はここにいます・・・!!!ミスタ・・・!!!)

 暖かいミスタの腕が恋しくて、ジョルノは心の中で何度も名前を呼んだ。

 

 しかし現実は残酷で。



 「今、ミスタのこと考えてたろ?」

 は、と引き戻された現実は、ブチャラティに犯される自分の姿だった。

 「助けて・・・ミスタ、と?」

 
 その瞳のあまりの冷たさに、ジョルノは再び腕で口を多い、必死にかぶりを振った。
 そして再び、我に返る。


 ぺろり


 (しまったーーーーー・・・・・・!!!!!)


 「ジョルノ、お前、本当に学ばないな・・・」

 ジョルノの額の汗を味わうかのように、ブチャラティは舌なめずりをした。

 
 
 「お前には、覚悟が足りない」





 
 「アッ・・・ァ・・・・・・−−!!!−−!!っ!!・・・・ンッ・・・・・!!!」


 ずぐ、ずぐ、と力強く突き刺され、抜かれるたびに、ぐちゅ、ぐちゅ、と水音が響く。

 
 (ミスタ、ミスタ、ミスタ、ミスタ、ミスタ−−−−−!!!!)

 
 何度も何度も、愛しい人の名前を呼ぶ。
 
 しかし下半身に与えられる快楽に、もはや意識は遠のき始めていた。
 かろうじて理性が野獣となることを止めてはいるものの、それもお情け程度で、いつ決壊するかわからないダムと同じだった。
 自分を突き上げている男の黒髪、白いスーツの肩越しに、見え隠れする天井が必死に「理性を保て」と戒める。

 奥へ、奥へ、食い荒らされる。

 すでにドロドロに溶けたそこで、望まぬ誰かの肉体を受け止めて。

 早く終わって、と、ジョルノはそればかり祈っていた。


 「ジョルノ・・・・」

 大きな手が、頬に触れる。
 睨んだ先には、いつもお優しい幹部の甘い笑顔。
 その手を噛み切ってやりたくて、口を開けると、それを待っていたかのように、激しくポイントを突き上げられた。
 
 「んァッ・・・・・・・・・!!!」

 今度こそ、絶叫してしまった。
 が、何度も喉の奥で叫んでいたせいか、声が枯れ、口から出たのは思いのほか掠れた小さな悲鳴。
 ジョルノは安堵と、悔しさと、そしてなにより、快楽から気が狂いそうだった。

 (ああ、ああ、もう、せめて・・・・ぼくの口をジッパーで閉めてくれたらいいのに・・・・!!!)

 そんなジョルノの気持ちを察したのか、再び大きな手が触れた。
 肩で激しく呼吸をしながら見上げると、涙で濡れ、ぼやけた視界に再びブチャラティが映った。


 「ジョルノ、かわいそうにな」


 静かな声。


 「つらいだろう?」

 
 いやに、静かな声。


 「ミスタでなくて、つらいだろう?
 悔しくて、つらいだろう?
 
 ・・・・でもなによりも、快楽に素直になれない事が、つらいんだろ?」

 

 だから、俺が終わらせてやるよ。




 残酷な笑みが、ブチャラティの端正な顔に浮かぶと、

 ジョルノは、いやな予感に背筋が凍るのを感じた。




 「ミスタ!!!!!!!!!!」




 −−−−−−−−−!!!!!!!!!!!!



 
 ブチャラティは上半身を大きくねじると、はるか天井に向かって、大きな声で、

 ミスタの名を呼んだのだった。




 さぁっと、血が引く音がした。
 口元に当てた手をゆっくりはずしながら、こちらを横目で見下ろすブチャラティの目が淫猥に光る。
 



 ミスタに・・・・・・


 ・・・・・・・・・・・見られる・・・・・・・・!!!!!!!!!



 
 今度こそ、絶叫してしまいたかった。



 
 神様、どうか、どうか、どうか。
 おねがい、聞こえてませんように、おねがいします、聞こえていませんように・・・・!!!!



 しかし神は残酷だった。







 『???ジョルノか???』


 ぎし、と、スプリングが重圧から開放される音。
 
 そして、ぎし、ぎし、ぎし。

 床を蠢く音が、頭上から響いた。


 





 ああ、ああ、ああ、あああ、あああああ!!!!!!



 
 ぐるぐるとまわる世界に、パニックを起こしかけたジョルノの頬を、再びブチャラティの手が触れる。



 「ブチャラティッ・・・・!!!お願いします、ジッパーを・・・・閉めて・・・!!!!」

 その手にすがりつくように、ジョルノは哀願した。
 その様子をブチャラティはさもおかしそうに見つめ、白い肌の感触をしばらく楽しんでいたが、
 軽やかな声でこう言った。




 「いいぜ、ジョルノ・・・・


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・お前が、もう俺のものに、なるというなら」

 「!」

 

 この男は、何を言っているんだ。

 ジョルノの顔が、不可思議だといわんばかりに歪んだ。



 ぎし


 
 そして再び、天井がきしむ。

 その音に、ジョルノはブチャラティの肩越しに天井を見た。
 まだミスタの姿は無い。


 「ジョルノ、お前を最初に見つけたのはこの俺だ」

 
 (そんなこと、関係ない)


 
 ぎし



 
 「お前は俺がほしくて、パッショーネに入ったんじゃないのか」

 
 (違う、ぼくはギャングスターになりたくて・・・)




 ぎし





 「俺はおまえが欲しかったよ・・・でなけりゃ、ポルポの元へ案内したりしない」

 
 (そんなこと、僕は知らない)




 ぎし





 ああ、もうだめだ!

 「ブチャラティ、ぼく、あなたのものになるからっ・・・・!!」

 もちろん口からでまかせだった。
 その言葉が終わるか終わらないかの瞬間、ブチャラティはジョルノの首元に人差し指を当てる。

 ブチャラティの指に、絡みつくジョルノの汗。
 目を見開くジョルノに、それを見せ付けるかのようにゆっくりと指を掲げ、
 ブチャラティは自分の口元に持ってゆく。


 「ジョルノ・・・」


 ああ、ぼくは、ぼくは馬鹿だ・・・・・!!!

 あの天井のきしみが、一歩一歩近づいてくるミスタの足音が、正気を奪ってゆく。
 冷静な判断を失わせる。
 
 ブチャラティは冷たい瞳でジョルノを見下ろすと、その指に舌を伸ばす。
 そして静かに言った。



 「もしもこれが・・・嘘ならば、ミスタの真下にスティッキーフィンガーズを打ち込む」

 
 ご対面だ。







 

 はたはたと流れる涙と共に、ジョルノの口から出たのは今度こそ、諦めにも似た忠誠のことばだった。













 ミスタ



 ミスタ








 ミ



   ス






       タ











 あ
   
   あ、


  僕はもう、あなたのところに戻
    
 
                    れ
    
                  な


                       い・・
             




                            ・・・










 







 「あっれ?誰かに呼ばれた気がしたんだけど・・・聞き間違いか」

 ベッドの反対側、声がした方に近寄ったが、そこにはいつも通りの床が一面に広がるだけだった。


 ミスタはぼりぼりと頭をかきつつ、ため息をつくと、

 「明日・・・ジョルノにあやまんなきゃな・・・・」と呟く。





 窓際、レースのカーテンが揺れる。

 月がかすかに、誰かのぬくもりを残す、まっさらなフローリングを静かに照らしていた。

















 end.






 落ちたら最後、元の世界へは戻れない魔性の迷宮。
 


 幹部がどんどん壊れてゆくのを、誰も止められない・・・
 
 そろそろ幸せにしてあげたい・・・ブチャラティ・・・・

 

 
 
 
 



 
 
 
 




 



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